"やってみよう"な雑記

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【脱にわか】ゼロから分かる、カープ女子には知っておいてもらいたいカープのこと。

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こんにちは。広島生まれ広島育ち、生まれたときからカープファンなじゃとです。

先日ようやく今シーズン初観戦に行ったのですが、最近のカープ女子ブームのおかげなのか(?)、カープについて教えて欲しい、と周囲から言われたので、今回から何回かに分けて、独断と偏見を多分に含んだカープ紹介をしていきたいと思います。

カープとは

正式名称は広島東洋カープセントラル・リーグに所属する日本のプロ野球球団。広島県に本拠を置いており、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島がホームグラウンドです。

広島東洋カープのホーム球場「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」(出典:Wikipediahttps://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/MAZDA_Zoom-Zoom_Stadium_Hiroshima%28March_21%2C_2016%29.JPG/600px-MAZDA_Zoom-Zoom_Stadium_Hiroshima%28March_21%2C_2016%29.JPG

球団としての歴史的な特徴はとにかく「お金に余裕がない」ことなのですが、それが逆に広島やそれ以外の地域でも熱いカープファンを生んでいるのではないかと思っています。

なぜカープにはお金に余裕がないのか

実は広島東洋カープ以外の日本のプロ野球球団には全て親会社が存在しています。親会社は球団名に含まれているので非常に分かりやすく、福岡ソフトバンクホークスであればソフトバンク読売ジャイアンツであれば読売新聞が親会社です。
そういった親会社の存在する球団は親会社にとっては多くの場合、宣伝・広告費の扱いとなっているため、赤字経営のケースも非常に多くなっています。

なぜ宣伝・広告費の扱いになるかというと、日々のテレビや新聞などのメディアにおいてプロ野球はスポーツの中でも最も扱いが大きく(スポーツコーナーでもオリンピックやW杯などを除くとまずプロ野球が冒頭に扱われているかと思います)、またプロ野球の球団名の略称には親会社の企業名がそのまま扱われることがほとんどであるため(公共放送であるがゆえに基本的に企業名を出さない方針のNHKにおいてもスポーツニュースでは楽天ソフトバンクDeNAといった企業名で呼ばれます)、それによって会社の知名度を高めることができるため、と言われています。

そんな中、広島東洋カープには親会社と呼べるほどの存在はこれまで一度もおらず、一貫して独立採算で球団経営をしています。そのため、他の球団のように赤字になってしまうことは許されず、戦後直後の球団創設当初は特に経営が厳しい状態でした。

事実、1950年代まで「給料の遅配」などが発生していたようですが、その後「契約選手の年俸を出来る限り押さえる」といった手法で経営を安定させ(本当に苦しかったときにはファンから樽に募金を入れてもらうよう募ったことも)、今年まで40年以上連続して経営黒字を実現しています。

「お金がない=弱い」になってしまっていた暗黒時代

そんなお金のないカープですが、全国各地の選手を視察するスカウトに車を支給するなどの手法(他球団ではあまりない例がないそう)で有望な選手獲得に力を入れ、かつ入ってきた選手に日本一とも言われた厳しい練習をさせることで80年代には3度優勝するなど黄金時代などもありました。

しかし、91年の優勝以降25年ぶりの優勝を果たした去年2016年まで毎年、優勝どころか下位を争うように。(去年優勝するまではカープが日本のプロ野球球団12球団の中で最も優勝から遠ざかっていたチームでした。。)

その背景には、球団に資金力がないと戦力強化や維持が難しくなってしまう「フリーエージェント(FA)」という制度が作られたことにありました。

フリーエージェント(FA)制度とは

フリーエージェント(FA)制度とは「一定年数以上、一軍で活躍することができたプロ野球選手が現所属の球団以外とも交渉を行い、契約を締結できる権利が与えられる」制度のこと。

上で、「契約選手の年俸を押さえる」と書きましたが、経営の厳しさゆえにカープの所属選手に対する年俸水準は他球団よりもかなり低く、そのため猛練習を乗り越え、高い成績を残した選手たちのうち、

  • より高い評価(年俸)を求める選手
  • 下位に沈むことが多いカープよりも優勝争いができる球団でプレーしたい選手

などが相次いで他球団に移籍していきました。そうなってしまうと、チームとしての戦力が維持・強化できないために成績も低迷してしまい、年俸も上がりにくいので、選手の流出が止まらない、という暗黒時代に入ることになってしまいました。

そんな暗黒時代を揶揄して、「創聖のアクエリオン」の歌詞をもじった替え歌がつくられたりしたことも。(1億と2千万越えたらあきらめる〜♪)

「お金<チームへの愛」という素晴らしい選手の帰還、そして優勝

そんなフリーエージェント制度での選手流出が相次ぐなか、一昨年2014年にカープファンの誰もが驚く衝撃的な出来事が起こりました。

フリーエージェント権を行使して、2008年よりカープからアメリカ・メジャーリーグに移籍し、メジャーリーグの名門球団ニューヨークヤンキースではイチロー選手や田中将大選手ともチームメイトとしてプレーしていた黒田博樹選手が年俸20億円というメジャーリーグでの契約オファーを断り、その1/5ほどの年俸4億円でカープに電撃復帰。

gendai.ismedia.jp

黒田選手はカープへの愛着が強い選手だったため、メジャーリーグに移籍してからも毎年「今年こそは戻ってきてくれるのでは」という願望がファンからも噴出しており、ネット上では「ボジョレー黒田」とも呼ばれていたのですが、2014年まさかの解禁が怒りました。

ボジョレー黒田コピペ
2008「広島にマンション買ったから間違いなく戻ってくる」
2009「奥さんの知り合いが言ってたから間違いなく戻ってくる」
2010「子供の進学があるから間違いなく戻ってくる」
2011「ここ10年で最高に戻ってくる」
2012「過去10年で最高と言われた2011を上回る戻ってくる」
2013「今年はAクラスに入ったしカープを優勝させるため戻ってくる」
2014「緒方新監督で戻ってくる」← 本当に戻ってきた!

また同じタイミングで黒田選手と同じ年にフリーエージェント制度でカープから移籍していたホームラン王のタイトルを取ったこともある新井選手カープに復帰。(新井選手はメジャーリーグではなく、日本のタイガースに移籍したのですが、地元広島出身であったこと、移籍した際に涙ながらに「つらい」といったコメントをしたことなどもあり、移籍直後には大ブーイングを向けられたこともありました)

そんなまさかの復帰を果たした黒田選手、新井選手の活躍などもあり、去年2016年ついに長かった暗黒時代を乗り越え、優勝を果たしました。

優勝が決まった直後、泣きながら抱き合う黒田選手と新井選手(出典:日刊スポーツhttp://www.nikkansports.com/baseball/news/img/s-sato2016091040ara-ogp_0.jpg?20160912091645

ということで

冒頭で書いた「カープ女子」ブームの背景には、単純な流行やチームカラーの赤が可愛いといった理由以外にも、

  • お金がなく弱かったチームがそれを乗り越え、優勝した
  • お金以外の価値を優先するような選手が活躍し、優勝に貢献した

といったストーリーも理由の一つなのではないでしょうか。

去年の24年ぶりのリーグ優勝に続き、今年も現状首位(2017年5月30日時点)ととても調子がよいので、ぜひ今年は去年達成できなかった日本一を達成してほしいですね。

今回はカープの簡単な歴史について書いたので、また違う切り口で書いていきたいと思います。